しかしその後、医局に所属するメリットが薄れ、医療の現場において医局の影響力が低下したため、医局に所属しないという選択をする医師が増えました。
その結果、都市部の民間病院でキャリアを積むことを選択する医師が増加しました。医師自身が、自分が働きたいと思う地域の病院を、自由に選択することが主流になったのです。
医師たちが、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上を求めた結果と言えるでしょう。
そして現在は、ワーク・ライフ・バランスに目を向ける医師が増えているのです。これまでの医師達は生活の安定を求め、常勤で働くことを重視していたように思います。
しかしプライベートを重視する医師が増えていることや、産休を取得した女医たちから、非常勤という働き方に注目が集まっているのです。
おそらく、このサイトをご覧になっている医師の方々も、自分に合った働き方を模索されているのではないでしょうか。この記事では、非常勤医師の働き方やその魅力、気になる収入事情についても詳しくご説明いたします。
もし今の働き方に疑問を感じておられるのであれば、非常勤という働き方を知ることは、これからの人生を豊かにするきっかけになるかもしれません。
非常勤の医師とは?
非常勤の医師は、常勤医師とは雇用契約の内容が違います。
勤務する病院と取り交わした雇用契約の内容が、正規職員としてのものである場合は常勤医師。
スポット勤務の契約や嘱託契約をしている場合は、非常勤の医師となります。
俗に嘱託医師やアルバイト医師、定期非常勤医師と呼ばれる身分で契約を結んだ医師は非常勤医師です。
両者の働き方には大きな違いがあります。
例えば常勤医師は、当直や夜勤、オンコール対応を避けることはできません。
しかし非常勤医師として雇用契約を結んでいる場合、契約内容にそうした不規則な勤務体制が含まれていないことも多いのです。
自分が求める生活スタイルに合った働き方を選択できることは、非常勤医師の大きな魅力といるでしょう。
定期非常勤とスポット非常勤がある
また非常勤医師としての働き方の中にも種類があります。
定期非常勤とスポット非常勤の2種類です。
定期非常勤を選択した場合、通常の常勤医師と同じように、1日8時間のフルタイムで勤務することになります。
スポット非常勤の場合は、毎週末の土日のみや夜勤のみといった働き方や、特定の日にちのみ勤務するといったスケジュールでの働き方が主流です。
普段は常勤医師として働きながら、休日などの空いた時間にスポット非常勤として働くことで、収入を補填したり、キャリアを積んでいる方も多くおられます。
定期非常勤は一般企業における派遣社員、スポット非常勤は単発のアルバイトといった風にイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。
安定した収入が得られる!定期非常勤
非常勤という言葉の響きは、「収入が不安定」というイメージを与えているように思います。
しかし実際のところは全く逆なのです。
定期非常勤医師の収入は非常に安定しています。
定期非常勤を選択した場合、常勤医師と同様の週5日フルタイム勤務の求人が多い上に、時給換算すると常勤医師以上の報酬が提示されているケースが多いです。
また当直や夜勤、オンコール対応といった業務は契約外であることがほとんどですので、業務終了と同時に帰宅することができます。
定期非常勤は、医師にとってメリットが多い働き方と言えるでしょう。
唯一デメリットがあるとするならば、常勤医師とは違い定期的な契約更新が必要というところです。
常勤医師は、余程のことがない限り失職することはありません。
しかし非常勤の場合、勤務中の病院の人員構成や予算の関係で、雇用契約が打ち切りとなる可能性があります。
単発で稼ぐならスポット非常勤
スポット非常勤は、定期非常勤よりもさらに高収入になることが多く、稼ぎたい医師にはうってつけの働き方です。
エリアや業務内容にもよりますが、10万円以上の日給が提示されることも珍しくはありません。
また自分にとって都合の良い日、時間にのみ働くことができるので、プライベートを最優先する必要がある医師には嬉しい働き方と言えます。
単発1日の日勤のみのお仕事や、夜勤や当直のみという働き方もできるので、常勤医師として働きながらスポットバイトをしている医師も多いです。
また最近は産休や育休明けの最初のステップに、スポット非常勤を選択する女医も多く、スポットバイトで仕事をした働きぶりを病院から認められ、本格的な復職を打診されることも珍しくはありません。
しかしメリットの多いスポット非常勤にもデメリットは存在しています。
常勤や定期非常勤とは違い、スポット非常勤はあくまでも単発のアルバイトです。
そのため、自分が働きたいときにいつでも仕事があるとは限りません。
医師の非常勤は科目に関わらず外来の仕事が多い
内科、外科を問わず、非常勤医師を必要としている診療科目は多岐に渡ります。
定期非常勤の場合、最も募集が多いのは外来の求人です。
また最近のトレンドとして、在宅医療のニーズが増加しており、訪問診療の求人も増加傾向にあります。
スポット非常勤の場合は、夜勤や当直専門の求人が多いです。
どちらの場合においても、即戦力として働くことを求められるケースが多いので、専門領域以外の幅広い知識を持っている医師や、高い技術力を持っている医師であれば、必ず自分の生活スタイルに合った求人を見つけることができるでしょう。