どっちがいいの?常勤と非常勤医師の違い4つ

医師として働くにあたり、常勤と非常勤には大きな違いがあります。
仕事の内容や、福利厚生、勤務体系や給与など。それぞれにメリットとデメリットが存在しています。
これからの自分のキャリアや、人生設計に大きく関わることですので、どういった働き方をするかは、慎重に決定する必要があるでしょう。
私は常勤と非常勤、どちらの働き方も経験しました。
この記事では、その経験から見えた、それぞれの働き方の違いについてご説明しいたします。
将来的な人生設計を模索している医師たちの手助けになれば幸いです。

常勤と非常勤医師の違い①仕事内容

まず常勤と非常勤では、担当する仕事の内容が違います。
これは実際の求人情報を閲覧されたことのある方ならすぐに理解いただけると思うのですが、基本的に非常勤医師は、大きな責任を伴う仕事を任されることはありません。
そのため、外来対応業務や当直・日当直といった病棟管理業務、救急対応といった業務をメインに担当することになります。

オペがつきものの外科に勤務したとしても、あまり執刀をする機会はないでしょう。
美容外科や眼科、麻酔科といった診療科以外では、術後管理が重視されるため、オペに関しては常勤医師で担当することが多いのです。
病院が非常勤医師に求めている役割は、あくまで常勤医師のサポート役です。

そうした事情を踏まえた上で、仕事の仕方を考える必要があります。
つまり非常勤医という立場は、専門医資格取得のための症例を手に入れることやキャリアを磨くこと、独立開業のための実績づくりには不利になることが多いということです。

常勤と非常勤医師の違い②社会保険について

社会保険に関しても、常勤と非常勤には大きな違いがあります。
常勤として働いている最中は、社会保険や年金、健康保険が完備されているので、特別意識されている方はほとんどおられないでしょう。
しかし非常勤として勤務している場合、これらの各種社会保障は一切ありません。

常勤との掛け持ちではなく、完全な非常勤医師として働く場合、これらの社会保障に関する手続きは、全て自分で行う必要があるのです。
非常勤医師の立場は、一般企業における派遣社員とは全く違うということを忘れてはいけません。
非常勤はどこにも所属せず、個人として勤務先の医療機関と契約をしています。

つまり非常勤医師は、個人事業主と同じ立場で仕事をしているのです。
そのため確定申告に関しても、自分で行わなければいけません。
そうした手続きを煩雑なものと考える非常勤医師の中には、専門家である税理士に依頼して処理している方も多いようです。

常勤と非常勤医師の違い③働く勤務時間

常勤の医師と言えば長時間労働が常態化し、過労死される方が出る程多忙であることは皆さんご存知の通りです。
実際に、私が常勤医師として勤務していた時分は、かなり過酷な労働環境ででした。
私が勤務していた病院は非常に人手不足のため、月100時間の残業は何度も経験しています。

また基本的に、週あたりの労働時間が60時間を切ることはない職場でしたので、当然体調を崩してしまい、シフトに穴を開けてしまう同僚も多く、その労働環境が改善される兆しはありませんでした。
「医師はそんなものなんだろう」と思い、当時はあまり気にしていませんでしたが、法定労働時間である40時間/週から換算すると、毎日4時間前後の残業をしていることになります。

労働基準監督署の判断では、残業が100時間/月を超えている労働者が死亡した場合、まず確実に過労死認定をするそうです。
私のケースですと、毎月ほぼ80時間前後の残業をしていたため、過労死一歩手前の職場だったということがよくわかりました。
しかし非常勤医師として働く場合、そうした劣悪な労働環境からは解放されます。

非常勤医師は、基本的に契約外の労働をする必要はありません。
決められた時間が過ぎたら、所定の引き継ぎを済ませて帰宅することができます。
自分の時間を大切にする方や、長時間労働に体がついていかない方は、非常勤として働く方が良いでしょう。

常勤と非常勤医師の違い④給料面

最後に給料面での違いをご紹介したいと思います。
基本的には、常勤医師より非常勤医師の方が、より高額な報酬を得ることができると思っていただいて良いでしょう。
特に全体の6割超が赤字と言われている公立病院の報酬とは比べ物になりません。

私が知る限りでは、年収3,500万円以上の方もおられます。
しかしこの金額は、あくまでも個人事業主としての売上額です。

この金額から、毎日の交通費や雑費といった経費、保険や年金といった社会保障費を支払う必要があります。
それらの必要経費を抜いた実際の収入は、もう少し低くなるのです。

また前述いたしました通り、非常勤医師は責任ある業務を担当することが少ないため、医療施設から医師として高い評価を得ることが難しいという側面があります。
そのため、非常勤医師として働いている期間が長くなってしまった場合、再度常勤医師に戻ることが難しくなってしまうのです。
これは医療施設内で出世をすることや、年齢や実力相応のポストに就くことはできまないということを示します。

また重要な局面を任されることがなくなるということは、独立開業を見越した実績づくりに関しても難しくなるということです。
高報酬な非常勤という働き方は、開業資金を貯めるのには打ってつけですが、キャリアを磨くことはできません。
非常勤という働き方は、手っ取り早く高収入を得ることができる反面、生涯年収においては常勤医師を下回る可能性があるということを覚えておく必要があります。

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